思いやりのあるコミュニケーションを行えるロボット頭脳をめざして

慶應義塾大学理工学部情報工学科 萩原(研究室では、会話のできるロボット頭脳、すなわち、画像やことばを理解し、人間との思いやりのあるコミュニケーションを行えるロボット頭脳の実現を目指しています。

"今でもロボットは大変に進歩していまして、制御部分に関しては非常に発展しております。ところが頭脳に関しての研開 発は非常に遅れていると私たちは思っております。そこでどのような機能が必要か考えてみますと、まず人間が行うのが視覚の情報処理です。見た物を処理す る、それから次に人間が持っている言語です。人間は言語能力を駆使する事によって大変高度に知的な処理を行う事ができます。また見たものを理解でき、そし て言葉を操る事ができても、足りないものが一つあります。それは感情や情緒です。第三の柱として感性工学の研究を行っております。"

萩原研究室では、人間の脳の情報処理に学ぶアプローチを取り、視覚情報処理、言語情報処理、そして感性情報処理の3つの要素に着目しながらロボット頭脳の構築を目指しています。さらに大切なことは、これらの3要素を統合していく事です。

"視覚情報処理に関しまして私たちはニューラルネットワークも用いることによって、3次元での構造とかそのような面倒 な数学的な処理を行わずに、人間がダイレクトに行っているような経験や直観に基づいたメカニズムによってものを認識しようとしております。認識された結果 は従来の物体認識の分野ですと、ただ単にパターンがシンボルに変換されていただけでしたが、私たちはそれに言語処理を付加することによって例えばロボット と認識されたとしても、ロボットは人の形をしているとか、手足があるとかそのような知識も総合的に扱える。今度は自然言語処理ですね、言語機能の処理も大 事になってきます。例えばロボットにしても、次の段階としては可愛いとか、そうではないとか、機械的とかメカニックとか色々あると思いますが、その感情的 なものを人間は自然に持っています、ところが今のロボットの研究においてはそのような方向はなかなか研究されておりません。と言う訳で私たちの研究室では 目で見たものを理解して、それで言語処理を用いて知識として理解し、さらに人間が持つような感情とか情緒の側面も総合的に扱って行こう、その方向で研究を 行っております。"

萩原研究室が目指しているロボット頭脳は、単に賢いだけではありません。人間やその他の環境とうまくやっていける感性や感情、心を持つロボット頭脳 を目指しています。そのために、感性工学の基礎から応用まで、そして、エンタテインメントやデザイン、癒しの分野を含めて幅の広い研究を行なっています。

"これまでのロボットの多くは、いわばプログラムされた通りに動くものが殆どでした。今後、多分10年もしない内に家 庭にどんどんロボットが入って来ると思います。そうするとユーザーである人間とのインターフェスが非常に大事になってくると思います。例えばロボットが、 このロボットのように動かない状態でいるよりは例えば若干色んな動きがあって、その中で揺らぎみたいな動きがあったとして、その中でコミュニケーションを 取るとか、或はロボットと接している時間が長くなれば成る程、利用者の気持ちとか性格的な所までも把握して、それに応じて反応したり、行動を起こしたりす ると。その様な言わば気配りのできるロボットの構築を目指しています。"

 

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