ダイヤモンドライクカーボン(DLC)の更なる応用を目指して

慶應義塾大学理工学部 機械工学科 鈴木研究室では、"ナノマテリアル"をキーワードに、高機能薄膜材料の開発や原子レベルでの材料解析に取り組んでいます。中でも、ダイヤモンドライクカー ボン、略してDLCという炭素を素材として、様々な分野への応用を目的に研究しています。

DLCは、ダイヤモンドに近い性質を持つ非晶質の炭素膜で、硬度、平滑性、ガスバリア性、生体適合性において優れた特性を持ちます。すでにペットボトルや自動車部品など幅広く活用されています。

"うちは、ガスから膜を作って色んな分野に応用していく研究室です。気体からダイヤを作るという研究ができたのはまだ 30年前ぐらいです。メタンとか炭素を含んだガスを分解して一個一個原子を積み重ねてダイヤの膜を作っていく。ですから宝石でキラキラ光っているダイヤモ ンドもその膜も同じようなダイヤなんです。やはりダイヤモンドは宝石以外にも機械的性質が強い。ものすごく固い。それから熱を物質で一番通す。それから密 度が高いのでガスを通さない。そのような性質を利用して色んな分野にうって出ているのがうちの研究室です。"

DLCの応用先では、DLC薄膜合成の低コスト化が課題となっています。鈴木研究室では、DLC薄膜合成に必要だった真空成膜装置を取り除き、大気 圧で薄膜を合成することで、薄膜合成時間の短縮および低コスト化を図っています。しかし、大気圧下で合成したDLCは真空下で合成したものと比較して、機 能性に劣ることが指摘されており、この機能性の向上を目指しています。

"うちはまず企業より先んじて、国際競争力を重視しています。大学の今までの問題点は、一生懸命良い物を高く作ること でした。こんな物が出来たと発表しても、今まで100円で悪かろう安かろうといっていた物が、1000円で2倍のパフォーマンスができたといっても、世の 中受け入れてくれないわけです。同じように安く作って、同じようなパフォーマンスにするという方法を開発していくと色んな所に使い手があって、いろんな企 業が寄ってくるわけです。"

応用先の一つが、現在製品化に取り組んでいるステントと呼ばれる医療器具です。ステントは、細くなった血管を押し広げるための医療器具ですが、表面をDLC薄膜で覆うことで滑らかになり、血栓が詰まるのを抑える効果が確認されています。

その他には、DLCを使った低コストの太陽電池、切削工具への応用を目的とした硬質薄膜や摺動部品への応用を目的としたタイヤモンド薄膜など、様々な薄膜の開発にもチャレンジしています。

"例えば自動車でどうやって応用するかとなりますと、自動車で重たい所はボディもありますけど、窓ガラスですね。フロ ントガラスやバックのガラスをプラスチックに変えるというのが長年自動車会社がやっていることですが、ポリカーボネイトですから、必ず傷が付いてしまうわ けです。そこをダイヤモンドの膜で覆うと傷がつかない。爪とか砂埃でも傷がつかない。それを安く大面積でやっていくのが一つの大気圧プラズマの技術です。 まとめて言いますと、私もよく文献に書くんですけど、機械的特性の固い、ガスを通さない、血がつかないという、この3つの性質をやれば色んな分野にうって 出れると思っています。"

 

 

 

 

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